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東京地方裁判所 平成6年(ワ)21085号 判決

原告

吉本誠

被告

大田原タカ子

ほか一名

主文

一  被告大田原タカ子は、原告に対し、金六〇三万五八五九円及びこれに対する平成五年六月一〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告大田原真美は、原告に対し、金一万円及びこれに対する平成五年六月二三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  原告のその余の請求を棄却する。

四  訴訟費用は、これを五分し、その三を原告の、その余を被告らの各負担とする。

五  この判決は、第一、二項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一原告の請求

一  被告大田原タカ子は、原告に対し、金一四八九万四四八三円及びこれに対する平成五年六月一〇日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告らは、各自、原告に対し、金一〇〇万円及びこれに対する平成五年六月二三日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  訴訟費用の被告らの負担及び仮執行宣言

第二事案の概要

一  本件は、青梅街道の信号により交通整理の行われている交差点において右折をした普通乗用車と対向車線を直進してきた自動二輪車との間に衝突があり、自動二輪車の運転者が傷害を受けたことから、普通乗用車の運転者を相手にその人損について賠償を求めた事案である。

また、普通乗用車の運転者とその娘が共同して、原告との示談を有利に運ぶため、娘が弁護士の資格を有しないのにこれを有すると虚偽の発言等をし、自動二輪車の運転者を威圧・愚弄したとして、これによる精神的な損害の賠償を求めている。

二  争いのない事実

1  本件交通事故の発生

事故の日時 平成五年六月一〇日午前三時五〇分ころ

事故の場所 東京都杉並区桃井四丁目三番二号先の交差点(以下「本件交差点」という。)

加害者 被告大田原タカ子(以下「被告タカ子」という。被告車両を運転)

被告車両 普通乗用車(練馬五三た六七三四)

被害者 原告(原告車両運転)

原告車両 自動二輪車(杉並区つ三三九七)

事故の態様 被告タカ子が被告車両を運転して、青梅街道を新宿方面から田無方面に向かつて走行し、本件交差点で対面青信号に従つて右折しようとしたところ、対向車線を直進してきた原告車両と衝突したが、その詳細については争いがある。

事故の結果 原告は、本件事故により、原告車両とともに転倒し、右橈骨粉砕脱臼骨折、右大腿部打撲、両側膝部擦過傷、橈骨々萎縮の傷害を受けた。

2  責任原因

被告タカ子は被告車両の保有者であり、自賠法三条の責任を負う。また、被告車両を運転して本件交差点を右折するに当たつて対向車線の安全確認を怠つた過失があり、民法七〇九条により損害賠償義務を負う。

3  損害の填補(一部)

原告は、自賠責保険から三〇〇万一一九六円、被告タカ子から二一万三〇七一円の填補を受けた。

三  本件の争点

1  損害額

(原告の主張)

原告は、前記傷害のため駒﨑病院で平成五年六月一〇日から八月一一日までの六三日間入院治療を受け、翌一二日から平成六年二月一日までの一七三日間通院治療を受け、更に名倉接骨院で治療を受けたが、上肢機能障害の後遺症(後遺障害別等級表一二級六号)が残り、このため、次の損害を受けたと主張する。

(1) 治療関係費

〈1〉 治療費(駒﨑病院入院分八六万〇六〇三円、同通院分二万五四三一円、名倉接骨院分二万四四一一円) 九一万〇四四五円

〈2〉 薬代 一三九円

〈3〉 入院雑費(一日当たり一三〇〇円。六三日分) 八万一九〇〇円

(2) 休業損害

原告は、本件事故後三カ月間休業した。事故前三カ月の収入を基礎に算定した。 一四五万三七三八円

(3) 逸失利益

原告は、株式会社東京即売に勤務し、平成四年度に五三六万八八六一円の収入を得ていたが、前示後遺障害のため、労働能力が一四パーセント喪失した。原告の就労可能年数は二三年間であり、その間の逸失利益をライプニツツ方式により算定する。 一〇一三万八五〇四円

(4) 慰謝料 四六五万〇〇〇〇円

入通院(傷害)慰謝料として一九五万円、右後遺症の慰謝料として二七〇万円が相当である。

(5) 物損

〈1〉 メガネ代等 七万〇〇五二円

〈2〉 原告車両修理費 二五万九二五一円

(6) 書類作成費 一万二三六〇円

(7) 弁護士費用 二二九万円

(被告らの主張)

被告らは、右主張を争い、特に次の点を主張する。

(1) 休業損害

原告の平成四年度の年収と平成五年度の年収の差額である九四万四九四四円をもつて、原告の休業損害とすべきである。

(2) 逸失利益

原告の平成四年度の年収と平成六年度の年収とはほぼ同一の金額であり、原告には、後遺障害による労働能力喪失がなく、逸失利益は否定される。

2  過失相殺

被告らは、原告が本件交差点に進入するに当たり、早朝のため右折車両がないものと軽信して、前方注視義務を怠つたのであり、右義務違反も本件事故の原因となつているとして、三割の過失相殺を主張する。

原告は、被告タカ子が寝不足のため、朦朧とした状態で本件交差点に差し掛かり、ウインカーを点滅させることなく急に右折したことが本件事故の原因であるとして、右主張を争い、原告の過失の割合は一割であると主張する。

3  虚偽発言

原告は、被告大田原真美(以下「被告真美」という。)は被告タカ子の娘であるところ、被告らは共謀して、原告との示談を有利に運ぶため、被告真美において、弁護士の資格を有しないのに、これを有するとか、原告が負担すべき被告車両の修理費用のほうが原告の損害賠償請求金額よりも多い等の虚偽の発言をして原告を威圧・愚弄したと主張し、これによる精神的な損害の賠償として一〇〇万円を求める。

これに対し、被告らは、右事実を否認し、被告真美において、原告を見舞つたときに、離婚後同居している夫が弁護士であることから、身内に弁護士がいることを述べたに過ぎないとする。

第三争点に対する判断

一  原告の損害額について

1  治療費関係 九八万六一八四円

甲三ないし七、二一、原告本人に前示争いのない事実を総合すると、原告は、本件事故により右橈骨粉砕脱臼骨折、右大腿部打撲、両側膝部擦過傷、橈骨々萎縮の傷害を受け、駒﨑病院に平成五年六月一〇日から八月一一日まで六三日間入院治療を受け、また、翌一二日から平成六年二月一日まで通院治療を受けたこと(実通院日数三八日)、その間に名倉接骨院でも治療を受けたが、右同日、症状が固定し、上肢機能障害の後遺症(後遺障害別等級表一二級六号)が残つたことが認められ、右認定に反する証拠はない。

以下において、右認定事実を前提に治療費関係の損害を検討する。

(1) 治療費

甲四、五、二一、原告本人によれば、原告は、前示駒﨑病院への入院のため八六万〇六〇三円、同院への通院のため二万五四三一円、名倉接骨院への通院のため、二万四四一一円の各治療費、合計九一万〇四四五円を要したことが認められる。

(2) 薬代

甲一〇によれば、原告は、薬代として一三九円を支出したことが認められる。

(3) 入院雑費

前示駒﨑病院における入院の雑費として、一日当たり一二〇〇円として六三日間に合計七万五六〇〇円を要したものと認める。

2  休業損害 九四万四九四四円

逸失利益に関する事実も含めて検討すると、甲二二ないし三二、三五ないし四三、原告本人によれば、次の事実が認められる。

(1) 原告は、本件事故当時、株式会社東京即売西荻窪営業所から委託されてJR荻窪駅北口にスタンドを出し、新聞や雑誌等の販売を行つていた。委託手数料として右会社から売上に応じた歩合給が渡され、原告は、これからアルバイトの給料、運送費等を控除して白色申告をしており、所得金額として、平成二年度は二〇八万四三〇四円、平成三年度は二六九万〇六三九円を申告してきたが、新聞料金の値上げとともに、平成四年度は三四一万七二三三円と所得を伸ばした。しかし、平成五年度は、本件事故による影響もあつて、二四七万二二八九円と落ち込み、なお、平成六年度は三四三万一三六三円を申告している。原告は、右委託販売のため、賃料等の固定経費を必要としない。

(2) 本件事故による前示傷害の入通院治療のため、原告は、事故当日の平成五年六月一〇日から九月一〇日まで休業し、歩合給を受領することができなかつた。なお、本件事故前三ケ月の歩合給の合計金額は、一四五万三七三八円である。

(3) 原告の朝刊の売上は、売上全体の約六二パーセントを占めるが、朝刊の販売は、ラツシユ時のため素早く新聞を提供し、代金を受領し、及び釣銭を交付する必要があるところ、原告は、本件事故による前示後遺障害のため、これらの作業が遅くなり、このため客が減つて、朝刊の売上のみを捉えると、平成六年度は平成四年度の約一一パーセント落ち込んだ。もつとも、他の売上で減収を補い、歩合給は、両年度の比較では二三万円の落ち込みに止まつている。

右認定に反する証拠はない。

右認定事実に基づき、症状固定時までの休業損害を検討すると、原告は、新聞の委託販売業をしており、給与所得者でないことから、原告が主張する歩合給を基準として休業損害を算定することは相当でない。そして、必要経費率を算定してこれを歩合給から控除するとの方法も考えられなくはないが、休業が平成五年度に限られていること。固定経費を必要としないことから、より端的に被告らが主張するとおり、同年度と前年度の所得の差額である九四万四九四四円をもつて、原告の本件事故による休業損害とみるのが相当である。

3  逸失利益 三二二万六六五三円

前示のとおり、原告は、本件事故のため後遺障害別等級表一二級六号の上肢機能障害を残し、このため、特に、朝刊の販売に支障を来している。そして、朝刊の売上については平成六年度が平成四年度の約一一パーセント落ち込んでいること、朝刊の売上は全体の売上の約六二パーセントを占めること、原告の収入は売上に応じて得る歩合に依つていることを総合すると、本件事故がなければ、平成六年度は、全体として見ると、平成四年度に比して約七パーセント所得を伸ばすことができたものと推認される。

そうすると、平成六年度の所得が平成四年度の所得とあまり変化がないとしても、原告には、右後遺障害のため労働能力が七パーセント喪失し、これによる逸失利益が生じているものというべきである。そして、原告の後遺障害の程度及び就業の内容からすれば、今後も同程度の逸失利益が生じると考えられるところ、原告は症状固定時に四四歳であるから(甲六により認める。)、その間の逸失利益を、平成四年度の所得である三四一万七二三三円を基礎とし、原告の就労可能年数二三年間にわたつて七パーセントの労働能力が喪失したものとして、ライプニツツ式により中間利息を控除して算定するのが適当であり、右逸失利益は、次の計算どおり三二二万六六五三円となる。

計算 341万7233×0.07×13.489=322万6653

4  慰謝料 四二〇万円

前示の入通院の日数、治療の経過、通院中にもめげず就労して休業損害の更なる発生をくい止めたことに鑑みれば、入通院(傷害)慰謝料としては一八〇万円が相当である。また、前示後遺障害の部位、程度、内容を斟酌すると、後遺症慰謝料としては二四〇万円が相当である。

5  物損 二九万六七六六円

(1) メガネ代等

甲一二、一三、一六、一七、原告本人に弁論の全趣旨を総合すれば、原告は、本件事故のため眼鏡、水筒や下着を破損し、その購入のため三万七五一五円を要したことが認められる。原告は、その他、甲八、九、一一の領収書を証拠として提出するが、他の証拠と照らしても本件事故との関わりが不明である。

(2) 原告車両修理費等

甲一八、三三、原告本人によれば、原告は原告車両の修理及びヘルメツトの購入のため二五万九二五一円を要したことが認められる。

6  書類作成費 一万二三六〇円

甲一九、二〇によれば、原告は駒﨑医院での後遺障害診断書等の作成のため、一万二三六〇円を要したことが認められる。

7  以上の合計は、九六六万六九〇七円である。

二  過失相殺について

1  甲一の1ないし7、二、乙一(一部)、原告本人、被告タカ子本人(一部)に前示争いのない事実を総合すれば、次の事実が認められる。

(1) 本件交差点は、片側三車線の青梅街道と片側一車線の道路との、信号により交通整理のされた交差点であり、青梅街道の新宿方面から田無方面に向かう車線の中央寄り第三通行帯は右折専用の車線となつている。本件事故当時は、未だ夜明け前で暗く、ライトを照らして走行する必要があつたが、交通は閑散としていた。

(2) 被告タカ子は、前日同窓会があつて飲酒したため、喫茶店で午前三時過ぎまで談笑した後、被告車両に乗り青梅街道を新宿方面から田無方面に向かつて時速約五〇キロメートルで進行した。そして、本件交差点の手前では第二通行帯を走行していたが、本件交差点の二十数メートル手前で右折すべきことに気がつき、急遽第三通行帯に車線を変更して減速した後、交通閑散であつたことから対向車はないものと思い込んで、右折の合図も、一旦停止もすることなく本件交差点で時速二〇ないし二五キロメートルの速度で右折を開始した。そして、対向車線を約半分通過し、同車線の第二通行帯付近に来た時にドーンという音を聞いて原告車両と衝突したのに気がついた。原告車両の存在は、衝突するまで気が付かなかつた。

(3) 他方、原告は、原告車両に乗つて、青梅街道の第二通行帯を田無方面から新宿方面に向かつて時速約四〇キロメートルで進行し、対面青色信号に従つて本件交差点を直進しようとしたところ、対向車線から右折してくる被告車両が眼前にいることを発見し、その直後に原告車両の前部を被告車両の左側前部扉に衝突させた。

以上の事実が認められる。被告タカ子は、乙一(陳述書)や本人尋問において、本件交差点の手前二〇〇メートル位のところから第三通行帯を走行しており、本件交差点で右折を実施する前に対向車線の安全を確認したし、ウインカーも出したと供述する、しかし、甲一の3、6、7によれば、同被告は、実況見分時、警察及び検察の各取調時において、右認定のとおりの内容の供述をしており、特に、実況見分調書(甲一の3)では、右折合図をした地点の指示を一旦記載した上で、これを削除しているのであつて、同被告が右折合図をしなかつたと指示していることが窺えるのであり、また、本件交差点で右折を実施する前に対向車線の安全を確認したのであれば、被害車両の存在に当然気がつくはずであるので、前示供述は、信用できず、採用しない。

2  右認定事実によれば、被告タカ子は、本件交差点を右折するに当たつて、ウインカーを出さないで急遽右折を行い、かつ、対向車線の安全を確認していないのであつて、このことが本件事故の大きな原因となつていることは明らかである。他方、原告も、衝突直前に被害車両が右折していることを発見したのであつて、前方注視に欠ける点があつたものと言わざるを得ない。以上の被告タカ子の過失と原告の過失の双方を対比して勘案すると、本件事故で原告の被つた損害については、その一割を過失相殺によつて減ずるのが相当である。

3  右過失相殺後の原告の損害額は、八七〇万〇一二六円となる。

三  虚偽発言

1  原告、被告真美各本人によれば、同被告は、被告タカ子の娘であつて、弁護士ではないが、その前夫宮武敏失は弁護士であること、本件事故当時、夫とは離婚していたが、財産分与等の問題が解決せず、同居していたこと、本件事故から約二週間経た平成五年六月二三日の午後八時前ころ、入院中の原告を見舞い、その際、両者の間で一時間以上話し合いが行われたことが認められる。

2  原告は、本人尋問において「右話し合い中に、本件交通事故の状況や過失の割合等が話題となり、被告真美は、『夫も自分も弁護士であつて、自分は、大学卒業後アメリカに二年程留学して、帰国後司法試験に合格し、東京第二弁護士会に登録し、青少年の非行問題に取り組んでいる。判例によれば、本件事故では、原告にも二割の過失がある。被告タカ子は、あちこち打つて動けない。被告車両は廃車する程度に壊れたが、持ち出しになるのが気の毒なので、その修理は結構である。』と発言した。原告としては、相手が弁護士なので太刀打ちできないと思つて、脅えた。」と供述する。

他方、被告真美は、本人尋問において「右話し合い中に原告に聞かれて、一般的な相場では原告の過失割合は二割程度であると説明したかもしれない。自分自身が弁護士であるとか、青少年の非行問題に取り組んでいるとか発言したことはないが、原告から矢継ぎ早にいろいろ質問され、離婚した夫宮武敏夫が弁護士であつたことから、咄嗟に、身内に弁護士がいる、同人は、東京第二弁護士会に登録し、その後留学をしている、と言つたことはあり、原告は、これを混同している。」と供述する。

3  よつて検討すると、原告の供述は、具体的であり、かつ、その場を体験しなければ供述することができないものであること、及び、被告真美は原告が前夫の話と混同していると説明するが、同被告は、本人尋問において「原告が本人尋問で供述したことについては、そう言われてみればとの部分がある」とも供述しているのであり、咄嗟に話した言葉を忘れたことも考えられることから、原告の前示供述を採用して、同被告が原告において供述するとおりの内容の発言をしたものと認めるべきである。

次に、原告は、同被告の右発言により脅えたと主張し、その旨の供述をするが、原告の前示供述を含む本件全証拠によつても、被告らが有利に示談をしようと事前に共謀したことや、被告真美が原告と本件事故についての損害関係を示談する積もりで弁護士活動に関する虚偽の発言をしたことは認めるに足りないといわなければならない。また、被告真美の右虚偽の発言は、被告タカ子との示談に影響を及ぼさなかつたことも明らかである。さらに、被告ら各本人によれば、本件事故の後に、被告タカ子は動けない状況であつたこと、及び同被告は被告車両を廃車したことが認められるのであつて、被告真美の他の発言部分には虚偽の点や威圧の点はないものと認められる。

4  そうすると、被告真美が弁護士でもないのに自分が弁護士であると虚偽の陳述をしたことにより、原告が後に前示の同被告の発言が真実でないことを知つて不愉快な思いをしたことは推認し得るものの、その余の点は認められず、右虚偽発言による原告への慰謝料としては、原告が当時入院中であつたことを考慮すると一万円をもつて相当と認める。

四  損害の填補

原告は、自賠責保険等から合計三二一万四二六七円の填補を受けたことは当事者に争いがないから、右填補後の原告の本件交通事故による損害額は、五四八万五八五九円となる。

五  弁護士費用

本件の事案の内容、審理経過及び認容額等の諸事情に鑑み、原告の本件の交通事故による損害賠償金を求めるための訴訟追行に要した弁護士費用は、金五五万円をもつて相当と認める。

第四結論

以上の次第であるから、原告の本件請求は、被告タカ子に対し、本件交通事故による損害賠償金として金六〇三万五八五九円及びこれに対する本件事故の日である平成五年六月一〇日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求め、また、被告真美に対し、前示虚偽発言による損害賠償金として金一万円及びこれに対する虚偽発言の日である平成五年六月二三日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由があるが、その余の請求は理由がないから棄却すべきである。

(裁判官 南敏文)

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